固定資産税の計算方法
土地や建物を所有している場合、その所有者には固定資産税が課されます。
この固定資産税は、土地や建物の所在地の市町村によって計算されます。
通常、自分で計算する必要はありませんが、確認したい場合は計算することができます。
固定資産税評価額の確認方法
固定資産税の額は、土地や建物の購入価格や建築価格を基に計算されるのではありません。
代わりに、各市町村で固定資産税評価額として設定された金額を基にして計算されます。
土地の評価額は所在地や地目によって決まり、建物の評価額は材料や構造によって決まります。
固定資産税評価額の詳細な計算方法を知ることはできませんが、計算結果を確認することはできます。
固定資産税の納税通知書や固定資産評価証明書にはその評価額が記載されているため、これらの文書から所有する土地や建物の評価額を確認することができます。
建物の固定資産税の計算方法
建物の固定資産税の金額は、「建物の固定資産税の課税標準額×税率」という式で計算されます。
課税標準額とは、建物の評価額に基づいて算出される金額であり、税額計算の基礎となります。
固定資産税の実際の金額を計算するためには、課税標準額を求める必要があります。
建物の課税標準額は以下のような計算式で求められます:
評点1点あたりの価額×床面積×単位面積あたりの再建築費評点×経年減点補正率。
設備の影響による固定資産税評価額の変動
建物にエアコンなどの設備が設置されている場合、設備の評点が高くなり、固定資産税評価額も高くなることがあります。
設備の有無や規模によって固定資産税の金額が変動するため、評価額が高くなる可能性があります。
固定資産税とは? 再建築費評点とは?
固定資産税は、所有している建物や土地に対して課される税金のことです。
そして、再建築費評点は、建物の価値を評価する際に、もし建物を今の時点で再建築する場合にかかる費用を算出したものです。
建物は時間の経過とともに老朽化し、その価値は下落していきます。
そのため、経年減点補正率というものを使用し、建物の課税標準額を減らすようにします。
ただし、細かい計算を自分で行うことはほぼ不可能ですので、建築価格や購入価格の約7割を課税標準額の目安として使用します。
また、新築住宅に関しては、新築から5年間は課税標準額が半分になる特例もあります。
固定資産税の標準税率は1.4%ですが、自治体によって異なる税率が使用されている場合もあるため、確認しておく必要があります。
以上が建物の固定資産税に関する内容です。
続いて、土地の固定資産税について説明します。
土地の固定資産税の計算方法
土地の固定資産税評価額は、土地の地目に基づいて決定されます。
宅地の場合、評価方法としては「市街住宅地評価法」または「その他の宅地評価法」があります。
市街住宅地評価法は、一般的に路線価方式とも呼ばれています。
具体的には、土地に面した道路の1平方メートルあたりの価格(路線価)に、土地の状況に合わせた補正率を乗じて、1平方メートルあたりの単価を決定します。
この単価に土地の面積を乗じることで、土地の固定資産税評価額を算出します。
また、その他の宅地評価法は、標準値比準方式とも呼ばれています。
この方法では、宅地の面する道路の状況や家屋の疎密度などを考慮し、似たような利用状況の地区ごとに標準値を設定します。
そして、その標準値に土地の面積を乗じることで、固定資産税評価額を求めます。
なお、土地には固定資産税の課税標準額に関して特例があります。
例えば、居住用建物が立っている場合、小規模宅地の特例が適用されます。
200平方メートル以下の土地については、課税標準額は6分の1となります。
一方、200平方メートルを超える部分については、3分の1の課税標準額が適用されます。
最後に、固定資産税の計算については都市計画税も考慮する必要があります。
都市計画税について詳しく説明します
都市計画税は、固定資産税と同じく、土地や建物に対して課される税金です。
ただし、固定資産税と比べると、課税標準額に対して標準税率の0.3%を乗じることで計算されます。
このため、固定資産税と同じ時期に計算されることがあり、固定資産税の納税通知書には都市計画税の記載もあります。
もちろん、固定資産税と都市計画税は別々の税金ですが、同時に計算されることがあるため、注意が必要です。
さらに、都市計画税には小規模宅地の特例も存在します。
この特例では、土地の面積が200㎡以下の場合、課税標準額は6分の1ではなく3分の1となります。
したがって、小規模宅地の所有者は、都市計画税の計算をする際にはこの特例の適用を考慮しなければなりません。
ただし、都市計画税が全ての土地や建物に対して課されるわけではありません。
原則として、市街化区域に所在する土地に課されるものです。
ただし、宅地でも市街化調整区域などに位置する場合は、都市計画税の課税対象外となります。
したがって、都市計画税の計算をする前に、まずは土地が市街化区域に所在するかどうかを確認する必要があります。
また、小規模宅地の特例が適用されるかどうかも確認する必要があります。
以上の点に留意しながら、都市計画税の計算は課税標準額に0.3%を乗じることで行われます。
税額を正確に計算するためには、まず土地が市街化区域に所在するかを確認し、次に小規模宅地の特例が適用されるかどうかも確認する必要があります。
ケース別
固定資産税額のシミュレーション ここまで、固定資産税の計算方法を説明してきました。
しかし、これらの説明だけでは具体的な計算の流れがよくわかりませんよね。
そこで、実際の事例を挙げて固定資産税の計算方法について具体的に説明します。
なお、固定資産税の計算は、建物の種類や新築・中古の違いにより適用される特例に違いがあるため、計算方法も異なります。
したがって、各ケースごとに固定資産税の税額計算の流れを確認していきます。
新築戸建てのケース
例えば、新築の戸建ての土地と建物の固定資産税評価額が以下のようになるとします。
土地(300㎡)の評価額:4,500万円
建物の評価額:1,000万円
この場合、土地には「小規模宅地の特例」が適用され、建物には「新築住宅の軽減措置」が適用されます。
固定資産税の計算方法
土地と建物の評価額に応じて、固定資産税の課税標準額が決められます。
具体的には、土地については土地面積と評価額を元に、建物については建物の評価額を元に計算されます。
新築マンションの場合
例えば、新築マンションの場合です。
土地の評価額が600万円、建物の評価額が2,000万円だったとします。
まず、土地については小規模宅地の特例が適用され、評価額の1/6になります。
それによって、土地の課税標準額は100万円となります。
一方、建物には新築住宅の軽減措置が適用され、評価額の1/2になります。
その結果、建物の課税標準額は1,000万円となります。
中古戸建ての場合
次に、中古の戸建て住宅の場合です。
土地の評価額が3,600万円、建物の評価額が500万円だったとします。
土地には小規模宅地の特例が適用され、評価額の1/6が課税標準額となります。
したがって、土地の課税標準額は800万円となります。
一方、中古住宅の場合は新築住宅の軽減措置は適用されないため、建物の評価額がそのまま課税標準額となります。
以上のような計算を通じて、土地と建物それぞれの評価額に基づいて固定資産税の課税標準額が決まります。
これに対して、固定資産税の税率をかけることによって、実際に支払うべき税金額が算出されるのです。
固定資産税の負担を軽減する方法
固定資産税の金額は、土地や建物が存在する市町村によって計算されます。
したがって、土地や建物の所有者は何を行っても固定資産税の負担を軽減することは難しいと思われるかもしれません。
しかし、実際には固定資産税の負担を軽減する方法が存在し、土地や建物に応じた方法を選択することができます。
固定資産税を減額するための具体的な方法を見てみましょう。
新築住宅の軽減措置を利用
新築の一戸建てやマンションを購入した場合、住宅の用途や構造によって定められた床面積の条件を満たすことで、固定資産税の課税標準額が3年間(耐火・準耐火建造物の場合は5年間)の間、半額になります。
さらに、住宅が長期優良住宅に認定された場合は、さらに2年間延長され、合計で5年間(耐火・準耐火建造物の場合は7年間)にわたって固定資産税の課税標準額が半額になります。
この制度を利用することで、一定の期間固定資産税負担を軽減することができます。
住宅用地の特例についての詳細な説明
住宅用地の特例では、一戸建ての場合は床面積が50㎡以上280㎡以下であり、共同住宅の貸家の場合は40㎡以上280㎡以下が要件となります。
さらに、1戸当たりの部分については120㎡までの床面積に関しては、評価額が2分の1に軽減されます。
具体的には、延床面積が120㎡以下の一戸建てやマンションでは、評価額がそのまま2分の1となります。
一方で、延床面積が120㎡を超える場合には、120㎡の部分についてのみ評価額が2分の1となります。
この特例を利用することで、住宅用地の固定資産税を軽減することができます。
特に、首都圏や地方の中心都市など土地の評価額が高い場所では、アパートなどの共同住宅を建設する際にこの特例を活用することがあるほどです。
なお、建物が専用住宅の場合には、適用要件が比較的明確ですが、住宅の一部を店舗や事務所、作業場、工場などに利用していた場合には、住宅部分の割合によって適用要件が異なるため、注意が必要です。
省エネリフォームによる固定資産税の軽減措置についての説明
省エネリフォームによる固定資産税の軽減措置では、主に熱利用の効率化の観点から行われるリフォームに適用されます。
具体的な要件としては、築年数や工事の種類、工事金額などが設定されており、これらの要件を満たすことで、住宅の床面積のうち120㎡までの部分に対して固定資産税額の3分の1が減額されます。
ただし、この軽減措置はリフォーム工事の翌年度分に限定されます。
具体的な省エネリフォームの例としては、窓を断熱サッシや二重ガラスのものに変更する工事や、床や天井、壁に断熱材を追加・交換することによる熱効率の向上を図る工事が該当します。
また、省エネリフォームとバリアフリーに関するリフォームについては、両方の軽減措置を併用して適用することができます。
ただし、耐震改修リフォームについては、他のリフォームと同時に減額措置を併用することはできませんので、注意が必要です。
リフォーム工事による固定資産税の減額措置を受けるための手続き
リフォーム工事を行うことによって固定資産税の減額措置を受けるためには、まずどの工事を行うのかを明確にしておく必要があります。
そして、リフォーム工事・改修・補強工事が完了した後に自治体に申告を行い、軽減措置を受けるための必要書類を提出する必要があります。
減額措置は1年間しか適用されないため、耐震改修リフォームは別の年に行うことも有効です。
バリアフリーに関する住宅改修での固定資産税の減額措置
バリアフリーに関するリフォーム工事を行った場合、65歳以上の方や要介護の方が入居しているなど所定の要件を満たすことで、翌年に限り1戸当たり100平方メートルの部分を限度に固定資産税額の3分の1が減額されます。
具体的な工事内容としては、車いすが入るように廊下や入口を広げたり、歩行補助のための手すりを設置したり、玄関や部屋の入口の段差を解消したり、浴室やトイレに滑り止めや手すりを設置したり、介助者が介助できるような仕様に変更した場合に該当します。
これらの工事を行った場合は、市区町村の固定資産税課に相談してみましょう。
耐震改修による固定資産税の減額措置
耐震改修を行った住宅については、築年数や工事金額など所定の要件を満たす場合、翌年に限り、120平方メートルまでの部分を限度に固定資産税の2分の1が減額されます。
また、要安全確認計画記載建築物に指定された住宅であり、耐震基準に適合している工事である旨の証明書の交付を受けている場合など、一定の要件を満たす建物については、120平方メートル以上の部分や非住宅部分にも翌年度から2年分の固定資産税が2分の1軽減されます。
ただし、この場合の減額額は耐震改修費用の2.5%を超えることはありません。
まとめ
不動産を取得または相続した場合、固定資産税の金額がどのくらいになるか気になる方も多いかと思います。
固定資産税は自分でシミュレーションすることができるため、事前に金額を把握しておくことは安心です。
リフォーム工事や耐震改修などの特定の工事を行う場合には、減額措置を受けられる可能性がありますので、自治体の固定資産税課に相談してみることをおすすめします。
固定資産税の金額は、新築の不動産と中古の不動産では異なる場合があります。
自分が所有している不動産の条件を確認しながら、固定資産税のシミュレーションを行ってみましょう。
また、固定資産税は特例や節税制度を利用することで、税負担を軽減することができます。
そのため、節税の方法を上手に活用することをおすすめします。