タワーマンション節税とは、相続税を節税するための手法の1つです。
この手法では、タワーマンションを購入した場合、相続税の申告額が実際の購入価格よりも低くなることがあります。
これは、タワーマンションの特徴を利用して相続税を軽減する方法です。
ただし、最近では国がタワーマンション節税に厳しい規制を設けており、この手法の効果が低下しています。
しかし、従来の相続税の節税効果から見ると、わずかに効果が落ちる程度であり、大多数の人々には大きな影響はありません。
タワーマンション節税が「著しく不適当」と判断されないためには、購入と売却のタイミングが非常に重要です。
専門家として、これからお伝えする情報は貴重なものであり、タワーマンション節税に関心がある方にとって役立つでしょう。
タワーマンション節税
タワーマンション節税とは、相続税の節税方法の一つです。
相続税は、亡くなった人の財産の評価額に基づいて課税されます。
財産の評価額が高いほど相続税額も高くなりますが、財産の評価額を低くすることで相続税額を減らすことができます。
タワーマンション節税では、購入価格(時価)と相続税評価額の開きを活用します。
つまり、タワーマンションの購入時に購入価格が相続税評価額よりも低い場合、相続税額を低くすることができます。
なぜなら、相続税評価額は、国税庁が定めた財産評価基準に基づいて決められるためです。
この基準によって評価された金額が相続税評価額となります。
タワーマンションの購入価格が低い場合、相続税評価額も低くなるため、相続税額も減るのです。
最近では、アベノミクスの影響により、都心の家やマンションの価格が上昇しており、2015年には基礎控除額が引き下げられるなど、「相続税強化」が進められています。
これを契機に、タワーマンション節税の需要も高まっています。
タワーマンション節税は、相続税額を減らすために有効な方法ですが、購入価格と相続税評価額の開きが重要です。
購入時の価格交渉や市場の動向を注意深く観察することが必要です。
また、節税方法を利用する際には、税務署のガイドラインに従って手続きを進める必要があります。
相続税対策になる
相続税を節税するための方法として、タワーマンションの高層階を購入し、賃貸するという方法があります。
相続税の計算では、預金や株式、現金などはその時点の時価で評価されますが、家やマンションの評価額は時価に比べてかなり低くなります。
特に、タワーマンションはその評価額と実際の時価の開きが大きい傾向があります。
この現象を利用した相続対策の一つが「タワーマンション節税」と呼ばれます。
タワーマンション節税では、相続税評価額を時価に比べて低く抑えることで、相続税の負担を軽減することが狙いです。
具体的には、高層階のタワーマンションを購入し、その所有権を持ちつつも、賃貸として利用することで、実際の時価よりも相続税評価額を抑えることが可能です。
このような方法を利用することで、相続税の節税効果を得ることができます。
ただし、相続税に関する法律や規制は複雑であり、また個別のケースによっても異なるため、専門家のアドバイスを受けながら慎重に計画することが重要です。
固定資産税対策となる
タワーマンションは、相続税だけでなく、固定資産税も非常にお得な点があります。
固定資産税は、土地や建物の評価額に基づいて課税されますが、狭い住宅地(200㎡以下)には大幅な割引特例制度があります。
通常、固定資産税の税率は土地や建物の評価額の1.4%ですが、住宅用の狭い土地(200㎡以下)に関しては、この税率の6分の1で納税することができます。
タワーマンションは、個別の住戸の所有者が共有している土地を持っています。
この土地の所有面積は、マンション全体の建物の敷地面積を住戸数で割ったもので算出されます。
つまり、マンションの場合、ほぼ100%の土地が固定資産税の対象となりますが、その税額は通常の土地の6分の1になります。
つまり、タワーマンションの固定資産税は非常にお得と言えます。
固定資産税評価額の計算方法とマンションの分譲価格の違い
マンション各部屋の固定資産税評価額(建物部分)は、建物全体の固定資産税評価額を専有面積で分配して計算します。
つまり、専有面積が同じならば、1階の部屋でも最上階の部屋でも固定資産税評価額は同じです。
一方で、マンションの分譲価格は階層が上がるごとに3%の違いが生じるとされています。
つまり、例えば30階建てのタワーマンションでは、同じ専有面積でも地上階と最上階では価格に2倍の差が出ます。
その結果、最上階の部屋における固定資産税評価額は、時価の約3割程度にまで圧縮されます。
このメリットを販売業者も利用して、節税効果を強調して販売していました。
その結果、居住目的の実需層だけでなく、海外投資家も含めた購買層がタワーマンションに惹かれるようになり、都心の一等地を中心にタワーマンションの人気が高まりました。
しかし、タワーマンションを買うことによる節税効果は否定されることはあるのでしょうか。
国税庁によるタワーマンション節税への取り組み
最近、国税庁がタワーマンションによる節税を標的にしているという噂がありますが、果たしてこれは本当なのでしょうか。
国税庁は特別な権限を持っており、財産評価通達の第6項という規定があります。
この通達は、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」という内容で、通常は「通達に従って評価する」とされているため、長官がその内容を変更することはありません。
しかし、この第6項では、「通達で定められた評価方法による評価と実際の時価との間に大きな乖離が生じ、かつ、その乖離を利用して極端な節税策が広がっている場合には、通達に従っていても「租税回避行為」として税務上不受理できる」というルールがあります。
すでにタワーマンションに関する節税問題では、この第6項が適用される事例があり、国税庁が裁判において勝訴している事例もあります。
つまり、国税庁はタワーマンションによる節税を厳しく取り締まり始めているのです。
「著しく不適当」とされる基準とは
何をもって「著しく不適当」とされるのかについて説明します。
国税不服審判の裁決記録によると、相続人Bさんは父親Aさんからマンションを相続しました。
その際、Bさんはマンションの評価額を固定資産税評価額(約5,000万円)として申告しました。
しかし、課税当局はこれを「租税回避行為」と見なし、マンションを取得した代金(2.93億円)を課税価格として計算し、更正処分を下しました。
また、Bさんの行為を不正行為と判断し、重加算税を課しました。
この裁決では、以下の理由により課税当局の判断が妥当であるとされ、Bさんの審査請求は棄却されました(ただし、重加算税は取り消されました)。
1. Aさんが認知症で入院中にBさんが勝手に委任状を書いて購入したこと。
2. マンションの購入時期とAさんの死亡時期が極めて近かったこと。
3. Aさんが一度もそのマンションを訪れたことがなかったこと。
4. Bさんが相続開始後の4か月でマンションを売却していたこと。
以上の理由により、Bさんの行為は著しく不適当であり、租税回避行為や不正行為と判断されました。
租税回避行為の例
何が租税回避行為とされたのかについて具体的な例を説明します。
国税不服審判の裁決記録によると、相続人Bさんは父親Aさんからマンションを相続しました。
Bさんはマンションの評価額を固定資産税評価額(約5,000万円)として申告しましたが、課税当局からは「租税回避行為」と判断され、更正処分が下されました。
その理由として、以下のような状況が挙げられています。
1. BさんがAさんが認知症で入院中に自分の名義でマンションを購入したこと。
2. マンションの購入時期がAさんの死亡時期に非常に近かったこと。
3. Aさんが一度もそのマンションを訪れたことがなかったこと。
4. Bさんが相続開始後のわずか4か月でマンションを売却していたこと。
これらの状況から、Bさんの行為が著しく不適当であり、租税回避行為と見なされました。
その結果、課税当局はマンションの取得代金を課税価格として計算し、更正処分を下しました。
また、Bさんは不正行為とみなされ、重加算税も課されました。
なお、この裁決では重加算税は行き過ぎとして取り消されましたが、Bさんの審査請求は棄却されました。
まとめ
この様にタワーマンションは上階ほど市場価格と固定資産税評価額との差によって生じますが、将来この節税もいつ無くなってしまうか分かりません。
将来、タワーマンション節税には、固定資産税評価基準や財産評価通達の見直しが行われる可能性があります。
これにより、相続税の課税対象となる資産の「時価」に影響が及ぶことがあります。
また、通達に頼らずに個別の財産評価に基づいて課税されることもあり得ますので、この状況については引き続き留意が必要です。
ただし、タワーマンション節税は、相続税対策として有効な方法であることに変わりはありません。
ただし、2018年より前に建てられた物件については、規制の対象外となります。
ただし、タワーマンションを相続税節税のためだけに購入することは必ずしも得策とは言えません。
タワーマンションを賃貸するか、住居として使用するなど、本来の目的を見失わずに節税を考えることが重要です。