不動産投資は、投資する対象や運用の方法によっていくつかの種類に分けることができます。
この章では、不動産投資の基本である「賃貸運営」に焦点を当て、その対象となる物件の種類を紹介します。
以下には、賃貸運営の代表的な物件と、それぞれのメリットについて説明します。
不動産投資の運用方法とそれぞれのメリット
1. 一戸建て住宅 一戸建て住宅は、単独の一軒家として運用されます。
一戸建てのメリットは、家族や自分自身が使用する場合に快適な居住空間を確保できることです。
また、耐震性や耐久性が高く、将来的な価値の維持が期待できる点も魅力です。
2. 区分所有 区分所有は、ワンルームマンションや分譲マンションなどの一部所有権を取得して運用します。
区分所有のメリットは、投資金額を抑えることができることです。
また、購入後の管理やメンテナンスが共同組合や管理会社に委託されるため、オーナーの負担が軽減されます。
3. 一棟買い 一棟買いは、複数の部屋数を持つアパートやマンションを一括で購入して運用します。
一棟買いのメリットは、複数のテナントからの賃料収入を得ることができることです。
また、一棟ごとの運営や管理が一括で行われるため、効率的な管理が可能です。
これらの不動産投資の運用方法は、それぞれ独自のメリットを持っています。
一戸建て住宅は自己利用や将来的な住む場所としての利用に適しており、区分所有は投資金額を抑えたい方におすすめです。
一棟買いは、複数の賃料収入を得ることで安定した収入を確保できます。
自身の目的やライフスタイルに合わせて、最も適した不動産投資方法を選ぶことが大切です。
初心者向け区分所有マンション
初心者の方におすすめの不動産投資方法は、区分所有マンションやワンルームマンションを購入することです。
区分所有とは、建物の専有部分を所有することで、初心者の方でも比較的運用しやすいと言われています。
この区分所有の物件は、数多く販売されており、一部の物件では低価格で購入することができます。
また、分譲マンションやワンルームマンションは、住戸と壁で接する共用部分や隣室の壁芯(壁の中心)など、建物の内側の権利を所有できます。
初心者向け区分所有マンションのメリットは、以下のような特徴があります。
・物件が多いため、購入物件の選択肢が豊富です。
エリアや築年数、広さなどによっても選びやすい傾向があります。
数百万円から億を超えるまで、幅広い価格帯の物件があります。
・流動性が高いです。
賃貸人が入居している場合でも、「オーナーチェンジ」として販売することができます。
また、賃貸人が退去したタイミングで売却することも可能です。
分譲マンションの場合は、物件選定が確かであれば比較的容易に売却できます。
初心者向け戸建て投資
初心者の方におすすめの不動産投資方法は、中古の一戸建てを購入したり新築したりすることです。
分譲マンションに比べると、流動性や物件数は少ないですが、一戸建て賃貸物件の競合が市場に少ないため、初心者向けの投資とされています。
初心者向け戸建て投資のメリット
戸建て投資は、競合物件が少ないため、賃貸需要が期待できるエリアにおいては、賃貸人が早く決まる可能性が高いです。
また、一戸建て賃貸は主にファミリー入居者が多いため、賃貸人が長く住む傾向があります。
さらに、土地や建物の規模にもよりますが、希少性を活かして高値の賃料を設定することができ、需要も期待できます。
さらに、自分で修繕計画を立てることができるため、修繕積立金の支払いが不要であり、状態の判断も自分で行えるため、費用を抑えることができます。
また、建物が老朽化しても、土地としての資産価値が維持されるため、売却や再建築などの手段が考えられます。
初心者向け不動産投資信託(J-REIT)の特徴
不動産投資信託(J-REIT)とは、日本の不動産投資における信託形態の一つです。
投資家は信託会社に資金を提供し、その資金を会社が不動産へ投資します。
運用利益は投資額に応じて投資家に分配されます。
初心者向け不動産投資信託(J-REIT)のメリットは、比較的少ない投資額で不動産に投資することができる点です。
また、運用は投資会社に委託されるため、投資家自身は管理の手間を省くことができます。
さらに、国内だけでなく海外案件から選択することができるため、投資の選択肢が豊富です。
さらに、管理費や修繕積立金などの費用が発生しないため、手間や経費の面でも便利です。
中級者向け1棟投資の特徴
1棟投資は、アパートやマンションなど、建物の一部ではなくまるごと運用する投資です。
部屋の戸数によって投資額が大きくなる傾向があります。
また、敷地面積や建物の規模も大きいため、高額な投資に分類されます。
1棟投資は、初心者向けの戸建て投資や不動産投資信託(J-REIT)よりも中級者向けの投資とされる理由です。
中級者向け不動産投資のメリットとは
中級者向けの投資案件には、以下のようなメリットがあります。
1. 部屋戸数が複数あるため、空き家リスクの負担を軽減できるため、収入がまったくないというリスクがありません。
2. 高い利回りが期待できます。
3. 修繕計画などを投資家自身で判断できるため、修繕費などの調整がしやすいです。
中級者向け民泊投資の特徴とは
物件購入までのハードルはそれほど高くありませんが、中級者向けの民泊投資には以下の特徴があります。
1. 投資家の工夫次第で運用率を増加させることができます。
2. 外国人旅行者の利用率が高いため、人好きな方におすすめです。
3. 老朽化した場合でも一定の評価率が期待できます。
不動産投資の利益
不動産投資の利益は、大きく分けて2つです。
1. インカムゲイン(運用益):投資不動産を運用して得られる定期的な収入(家賃など)です。
2. キャピタルゲイン(売却益):投資不動産を売却した際に、購入額を上回る金額で売却できた場合の利益です。
不動産投資の取引方法
不動産投資を行う場合、既に所有している不動産を運用するのでなければ、新たに投資物件を購入する必要があります。
投資物件を購入する際には、以下の3つの方法から情報を収集することがあります。
1. 仲介業者からの情報:最も基本的な情報収集方法です。
不動産投資のためのローンの利点と利用方法
不動産投資を行う際には、一般的な住宅ローンは使用することができません。
なぜなら、住宅ローンは住宅購入のために提供されているものであり、投資目的の不動産には「不動産投資ローン」を利用する必要があるからです。
不動産投資ローンの審査は、居住用ローンとは異なります。
返済能力だけでなく、投資物件の収益性や事業の継続性なども審査されるため、基準は非常に厳しくなります。
ここでは、不動産投資ローンの利点と利用方法について詳しく説明します。
1. 使用するメリット
まずはローンを使用するメリットについて見ていきましょう。
1-1. 自己資金の軽減 一般的な住宅ローンと比較すると、不動産投資ローンは審査基準が厳しいとされます。
しかし、収益性や事業継続性に関する書類を適切に作成し、借り手の信用力が高ければ、自己資金が0でも融資を受けることが可能です。
1-2. 資金を効果的に活用 利益を享受するための不動産投資では、資金を効果的に活用することが重要です。
ローンを利用することで、限られた自己資金による購入だけではなく、より多くの物件を購入または改修することができます。
1-3. 利回りの向上 ローンを利用して投資物件を購入することで、所有する不動産からの収益が増加します。
賃貸収入による返済によって、ローンの返済期間中にも利益を得ることができます。
2. 使用するデメリット
次に、ローンを使用する際のデメリットについても考えましょう。
2-1. 返済負担の増加 ローンを借りることで、毎月の返済負担が増加します。
収益の見込める不動産投資であっても、返済期間中は安定した収入が得られることが前提です。
2-2. 利息の支払い ローンを利用した場合、金融機関に対して利息を支払う必要があります。
これにより、投資収益は利息の支払い分だけ削減されることになります。
2-3. リスクの増加 ローンを利用して投資を行う場合は、リスクも増加します。
賃貸市場の変動や物件の状態、テナントの入れ替わりなど、様々な要素によって利益が変動するため、リスク管理が重要です。
以上が不動産投資ローンの利点と利用方法についての詳しい解説です。
団体信用生命保険が利用できる
ローンを返済している人が万一の場合に備えて利用できるのが団体信用生命保険(以下、団信)です。
この保険は、保険会社が残ったローンを弁済してくれるものであり、基本的には住宅ローン団信と同じしくみを持っています。
しかし、団信に加入するためには健康状態の告知が必要であり、さらに加入条件を満たすために健康診断書の提出が求められる場合もあります。
一般的な金融機関では、団信加入を融資条件としているため、加入条件を満たせない場合は融資が受けられないことになります。
団信の種類については、利用する金融機関によって異なりますが、以下のような種類が一般的です。
1. 死亡・高度障害保険(一般団信) 契約者が死亡または高度障害になった場合に保証がされるものです。
高度障害については、一人で生活ができないほど重度の障害に限定されています。
多くの金融機関では、この団信の保険料は無料です。
2. がん診断特約付団体信用生命保険 「がん」と診断が確定された場合に保証されるもので、一般団信の補償内容に加えて提供されます。
がんの種類については、各金融機関のパンフレットなどで確認する必要があります。
特約保険料は毎月の支払額に追加されます。
3. 疾病特約等 一般団信に加えて、三大や七大などの疾病特約を付けることができます。
代表的な疾病特約としては、3大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)や7大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中・糖尿病・高血圧疾患・肝疾病・腎疾病)があります。
上記の他にも、就労不能特約など、金融機関によってさまざまな特約の組み合わせが存在しますが、これらの特約は基本的に月々のローン返済に追加されます。
したがって、現在加入している健康保険の内容と比較し、必要な特約のみを付保するよう注意しましょう。
ローンを利用するメリット
レバレッジ効果による資金運用の拡大 不動産投資において、ローンを利用することで自己資金以上の資金を使って投資できます。
これにより、高額の物件なども購入しやすくなり、投資の選択肢が広がります。
また、高額物件は家賃収入の期待もあり、自己資金のみで運用する場合と比べて利益が増加する可能性があります。
税金の控除による損益通算効果 不動産投資を行う場合は、確定申告が必要となります。
給与収入がある場合には、家賃収入と組み合わせて「白色」または「青色」で申告する必要があります。
申告時には、利益から経費を差し引くことができますが、ローンを組んでいる場合には利息部分も経費として計上することができます。
これにより、損益通算の効果が期待できます。
金利が割高である 一般住宅ローンと比較すると、不動産投資用のローンの金利は割高になる傾向があります。
具体的な金利は、金融機関や貸し出し条件によって異なりますが、年率1%~4%程度が一般的です。
ただし、WEB申し込みであれば優遇金利が適用されるケースもありますので、金融機関ごとの条件を比較検討することが重要です。
審査が厳しいため、資金計画が難航する可能性がある 不動産投資用のローンは、審査が厳しくなる傾向があります。
与信力のみではなく、正式な融資申し込みを行って融資承認を得る必要があります。
特に、投資物件の契約においては、ローンが不承認になった場合に契約を白紙解約できる「ローン条項」を付けることが一般的ですが、これによって仲介業者は報酬を得られなくなるため、難航する可能性があります。
ローン利用のデメリット
賃貸人が退去して利益が入らなくても支払い義務がある 不動産投資では、賃貸人の家賃から利益を得ることが主な目的です。
そのため、物件が空き家になったり賃貸収入が途絶えた場合、利益が生まれません。
しかし、ローン返済は免除されることはありません。
一時的に家賃収入が得られなくなっても、ローンの支払いを滞らせることはできません。
そのため、資金計画を立てて、支払いが滞ることのないような準備をしておくことが重要です。
不動産投資のリスクと回避方法
ここでは、代表的な投資方法である区分所有、戸建て、1棟投資について、さまざまなリスクとその回避方法について説明します。
まず、区分所有投資における空き家リスクですが、どの投資物件でも存在します。
しかし、区分所有投資では、空き家リスクだけでなく、管理費や修繕積立金の負担リスクもあります。
基本的に、管理費や修繕積立金は区分所有者が負担する必要があります。
つまり、賃料収入が入らなくても、これらの負担は回避できません。
管理体制がしっかりしているほど、分譲マンションとしての評価が高くなり人気も出ますが、その分、管理費も高くなる傾向があります。
このような区分所有投資のリスクを回避する方法として、家賃保証サービスを提供している会社があります。
このサービスでは、入居者の募集、家賃の保証、集金代行などがパッケージとして提供されます。
これにより、賃料収入が途絶えた場合でも、一定の保証を受けることができ、リスクを軽減することができます。
戸建て投資におけるリスク回避のポイント
戸建て投資を行う際には、様々なリスクに備えることが大切です。
まずは、予期せぬ修繕費用に対応するために、引当金を準備しておくことが重要です。
また、投資利益の一部を積み立てておくなど、リスクへの対策を検討することも必要です。
さらに、物件を検討する際には、第三者の建物現況調査(インスペクション)が実施済みの物件や、契約前にインスペクションを条件とするなどの対策も検討しましょう。
1棟投資におけるリスクとは

一棟マンションやアパートなどの投資物件では、満室状態を長期間維持できれば、投資利回りも高くなることが期待されます。
しかし、一方で区分所有や戸建て投資よりも様々なリスクが存在します。
主なリスクとしては、以下の4つがあります。
1. 空き室リスク:長期間入居者がいないことによる収益減少のリスク。
2. 家賃滞納リスク:入居者が家賃を滞納する可能性があるリスク。
3. 入居者による事故・事件の発生リスク:入居者によるトラブルや事故、事件のリスク。
4. 経営環境のリスク:周辺環境の変化による影響や法律・規制の変更によるリスク。
1棟投資におけるリスク回避のポイント
まずは、初めての場合は手間を省くために、管理会社に委託することをおすすめします。
管理会社は家賃回収はもちろんのこと、共用部分のメンテナンス時期や費用の提案もしてくれるため、不安を解消することができます。
また、自ら経験を積んで自主管理する場合でも、管理会社とは適度にコミュニケーションを取り、相談できる体制を構築することが重要です。
さらに、入居者を紹介してくれる仲介会社ともよ好な関係を築き、情報提供やアドバイスを受けることも大切です。
まとめ
不動産投資は、初心者でも始めやすく、すぐに利益が出るイメージがありますが、もちろんリスクやデメリットも存在します。
高度な運用スキルさえあれば、それらを軽減することも可能ですが、副業として取り組む場合には難しいものです。
不動産投資に関する情報は、ネットや書籍、セミナーなどで充実しています。
自身の知識を高めることや専門家のアドバイスを受けることが、リスク回避につながるでしょう。
資産運用のためには情報収集と人脈の構築が重要です
資金を投資するには、慎重な情報収集が不可欠です。
ただ情報を得るだけでなく、積極的にセミナーに参加して知識を学んだり、人脈を広げたりすることも重要です。
自分自身のネットワークを構築することで、より広範で独自の情報を収集することができます。
資金運用は高額な関係上、基礎的な情報だけでなく、より詳細な情報を得ることが必要です。
それにはセミナーへの参加がおすすめです。
セミナーでは、専門家や経験豊富な投資家から貴重な知識やノウハウを学ぶことができます。
さらに、セミナーに参加することで他の参加者との交流の機会も増えます。
このように人脈を広げることで、他の投資家からの情報やアドバイスを得ることができます。
自身のネットワークを構築することで、より多角的な情報を収集し、より良い投資の判断を行うことができます。
資産運用を成功させるためには、基本的な情報収集はもちろんのこと、積極的にセミナーに参加して学ぶこと、そして人脈を広げることが欠かせません。